HOME > 法科大学院 > 米谷・石田講師のロースクール入試Bible > 20100611
 
★ 適性試験
【20100611 試合の前に
 

 いよいよ試合(JLF,DNCの2本の適性試験)の日が迫ってきました。今回は,適性試験の各パートへの対応について再確認をしましよう。

1 日弁連法務研究財団版適性試験への対応

 JLF適性試験の特徴は,一言でいえば「反射型」の試験であるということです。反射型のJLF試験に対処するには,とにかく要領とスピードが必要になります。講義で取り上げたように,出題側のことばへの感性は,結構独りよがりな節も見られるため,ことばの意味の射程範囲を熟慮し始めると,かえって相手の思う壺に嵌りかねません。また,第1部では定型的な誤謬論の知識が,第2部では選択肢を活用する考え方が功を奏するなど,「事前準備の効果が認められる出題傾向」にあることにも注意が必要です。

 設定されている時間は短く,1問をじっくり考える時間は与えられません。また,出題の内容をみても,深く考え切ることを想定したような選択肢のつくりにはなっていないのです。以上から,JLF適性試験に対処するポイントを改めて整理してみました。

(JLF試験のポイント1)出題意図を読む

 JLF適性試験の第1部(論理)の問題では,ことばや議論が素材になるものが多く出題されます。これらは帰納的推論と言われる類型の論理ですから,演繹的論理のように,明快に答えが出るようなものではありません。すると,問題をどのように解釈するか,という切り口の選択しだいでは,答えが異なってくるように見えることがあります。論理の問題なのに曖昧模糊とした印象があるのは,このためです。過去問の中には,出題者が「こういうつもりで出題しているのだ」という出題意図にシンクロできればさっくりと選べるものが少なくありません。選択肢に迷うことがあったら,自分が出題者になったつもりで「ここを訊いているのだろう」という「つもり」になって選んでみましょう。

(JLF試験のポイント2)流れにのる

 JLF適性試験の第2部(分析)の問題に顕著な傾向ですが,すべての可能性をきっちりと検討しながら解くような時間はありません。小問の配置のしかたを観察してみると,次のような出題意図が見られます。複雑な状況設定の中でも,あるポイントに着目すると,突破口が開けます。小問(1)や(2)が示す方向性に乗っていくと,パズルがすらすらと解けるのです。だから,出題者の想定している「流れ」に乗るのが得策です。

(JLF試験のポイント3)難問に時間をかけず,早めに見切る

 JLF適性試験は,極端に時間設定が短い中で,各設問の配点が均一というスペックを有しています。ということは,時間が少ない中で困難な問題に取組むのは,明らかに「損」だということになります。難問に労力をかけたことが,高得点として報われないからです。したがって,「困難な問題にぶつかったら,直ちに逃亡せよ」という対処が,適者生存のために必要となります。このような指導は,私たちの人生観とは合致しないものですが,受験としてスコアを出していただくという目的には合致します。

2 大学入試センター版適性試験への対応

 DNC適性試験は「熟考型」の試験です。熟考型のDNC試験に対処するには,ことばを大切にした思考の積み上げが必要になります。そのため,私たちは適性試験の本質を「言語能力(Competence)を問う試験である」と喝破して,そのようなカリキュラムを構成した上で講義にあたっています。

 JLFとの比較でいえば,1つの設問に対応する時間が与えられています。選択肢には「五肢択一」だけでないものも多く,そのつくりをみると,多くの場合,きちんと考え切らなければ選べないようなつくりになっています。

(DNC試験のポイント1)出題者の想定する深さの思考をする

 DNC適性試験は,出題内容がよく練り込まれています。選択肢も丁寧に作り込まれており,正解でない「フェイク肢」の出来は,正解かと勘違いするほどよくできたものも含まれています。ということは,問題設定を表面的に捉えるだけでは,正解が選びきれないことを意味しています。実際,表面的にしか理解していない人がひっかかるように,フェイク肢が作られています。

 試験への対処としては,日頃から勉強してきた態度を堅持して,しっかり考えることです。これを「出題者の想定する深さの思考」と呼んでいるのです。

(DNC試験のポイント2)ことがらの本質をつかみ,丁寧に解

 上述のポイントとも重複しますが,これはDNC適性試験への対処として重要なことです。第1部(論理・分析)の問題では「問題の世界」というものがあります。問題文で記述される世界の中に入り込んで,その世界の住人として,論理的・分析的・合理的に考えて,こたえを導き出すのです。ということは,その世界の本質的なことは何か,という点に意識を向ける必要があります。とりわけ,勝負問題となる「誰にとっても初見のタイプの問題」において,このことが重要になります。問題の世界に入り込んで,丁寧に解きましょう。

(DNC試験のポイント3)配点の高い勝負問題には時間をかける

 DNC適性試験では,配点にメリハリがついています。易しい問題には1点だけ,難しい問題には3点ないし4点が配当されます。ということは,易しい問題には時間をかけずに素早く解き,難しい問題にはしっかり時間を確保して,勝負をかけることが必要となります。これがJLF適性試験との最大の相違点です。そのためには,時間配分が重要です。リズムよく,熱くならず,考えるべきポイントはじっくり考える。このような時間の捌き方がポイントになります。

3 試合の前に

 試合(試験)を迎えるにあたって大切なことは,持っている実力を出し切ることです。スポーツの試合でも勉強の試験でも,日頃の実力を出せれば,自ずと納得のいく結果になるはずです。

(実力を発揮するポイント1)リラックスして試験に臨む

 平常心で試験に臨むことは大切です。練習で出来ないことは,試合の本番ではできない。それよりも,練習で出来ることを,試合の本番でも確実にできるようにすること。これが出来れば,必ずや納得できる結果に結びつくことでしょう。そのためには,平常心を保つことです。

(実力を発揮するポイント2)闘争本能を静かに燃やす

 平常心も来節ですが,勝負は勝負。集中力を維持して挑むことが大切です。単に気合いだけを入れても,集中力が空回りしてしまうと,力を出し切れないことになってしまいます。「静かに燃える」ことで,持てる力を出し切って下さい。

(実力を発揮するポイント3)試合運びを工夫する

 冷静な試合運びが大切です。熱くなったら,頭を冷ましてみる。いったん保留して,他の問題に移ってみる。あとで戻ってくると,「何だ,こんなことだったのか」と自分の勘違いに気付くこともしばしばあるものです。適性試験の試合運びとは,問題を解く順序の選択です。行き詰まったときに,こだわりすぎて時間を浪費することは,避けたいものです。上手に捌いてみてください。

 では,よい試合を!

 Good Luck !

 

 
 
 
Copyright 2000-2004 TATSUMI Co.,Ltd. ALL Right Reserved.