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★ 適性試験
【20100430 長文読解−現場での対処
 

 今回はJLF版適性試験第3部「長文読解力を測る問題」を念頭に,文章読解全般について,実践上での注意点を整理しておきましょう。

1 文章読解の基本は著者の側に立つこと

 既に繰り返して述べてきたように,文章読解の基本は自分の先入観を排し,著者の主張をそのまま自分の中に受け入れることです。そのために著者の思考の対象を捉え,著者の問題意識に共鳴することに最大の注意を払います。すなわち,著者の思考に自分の思考を重ねながら,書かれていることがらの関係についてのイメージを頭の中に作りつつ,文を読みます。

 技術的には,接続表現などに注意しつつ文章構造・対比構造を捉えることが中心となります。トピックセンテンス(骨子)にアンダーラインをしっかり引けるようになればOKです。ついつい,自分の興味や自分が納得したりしたところに線を引きがちですが,それと「著者の言いたいこと」は別のことです。また,書かれている内容が複雑な構造を持つ場合には,その階層構造を意識して余白にメモを書きながら捉える技術も大切です。

 感覚的には,目の前に著者がいることを想定し,その人と会話するつもりで読むとよいでしょう。人の話を聞く時には,次に相手が何を言おうとしているのかを予測しながら聞いています。文を読む時もそうすればよいのです。次に相手は何を言おうとするか,話の展開がどうなるのかを意識すればよいのです。「たとえば」といったならば,今まで述べてきたことの例が続くと予測できるでしょう。「つまり」「したがって」と来れば,まとめや主張が続くはずです。「しかし」とあれば,これまでの話が転換されて著者の言いたいことが述べられることでしょう。

 特にJLF第3部の文章は,ほとんどが論説文なので,以上のような基本動作ができていればそれほど苦もなく選択肢が選べていきます。もちろん,要領は必要です。必要な部分と不要な部分を峻別する,問に答えることに優先順位をおく,答えられる問題にどんどん答えていく,といったことは強く意識しておく必要があります。

2 「身体の中に文章が入ってこない」

 でも,実際にはなかなか思うようにはいかないのが読解です。辰已の連続模試「適性試験オープン」などでも読解パートの点数がなかなか延びないという相談が,後の方の回数になればなるほど増えてきます。むしろ点数が下がって来た,という人もかなりいるはずです。

 この場合,「筆者の言っていることが,どうしても身体の中に入ってこない」という感覚がある方は多いのではないでしょうか。目で文を追っているのだが,ふと気がつくと実は頭に入っていない,それでもう一度初めから読み直す,といったことが実際にはあるはずです。正答率が高い分野と低い分野がはっきりしている方は大体このような感覚を持っているはずです。時間内で最後まで行き着かないという方はこの現象が全般的に生じているのです。

 これは,著者の言っていることを理解しようとしても,その前提となる知識や感覚・問題意識自体が共有できていないことを意味します。残念ながらこれは一朝一夕には解決しません。これは,今までどれだけ本を読んできたか,別の言い方をすると,どれだけ多くの人を自分の中に住まわせてきたか,ということが累積した結果なのです。著者と自分の世界との共通部分がない,または希薄だという場合には,書かれていることの理解はなかなか進まないのです。

 したがって,これに対処するには「本を多く読む」ことしかありません。ですから,導入編・基礎編の時期から「本を読め」としつこく言ってきた訳です。

 とはいえ,もうさすがに時間がありません。文を読むことは日々の生活の中で常に強く意識して頂きたいのですが,限られた時間で読める本は限られています。

3 捨てて,絞る

 全般に時間が足りないという方は,「満点」をとることを狙うことを捨て,平均点を上回ることを目的とし,解く問題を絞りましょう。今から本を読んで自分の世界を広げるという余裕はありません。現時点での方向性は「捨てて,絞る」しかありません。

 DNC版は原則として前の方の問題の方が解きやすく作ってあるのですが,「自分の中に入ってくる」かどうかの方が読解問題では重要です。初めにざっと全体を見渡し,読みやすい問題/読みにくい問題の目星を付けます。全体像を頭に入れたら順に課題文に取り組みますが,「頭の中に入ってこない」という文章は捨てましょう。目標はまず6割の確保です。読みやすい文章に絞り込めば,時間をかけて正確に読むことが可能になります。それらに対して先に述べた基本動作??テーマを意識し著者の思考に乗る,キーセンテンスを拾い構造をつかむ??を確実に行いましょう。細かな事実についての内容合致の問題も,時間さえかければ必ず正解できます。

 もちろん,6割を狙って6割ちょうどを完全に正解できる訳ではありませんから,取り組みやすい問題を片付けた後は,上積みを狙って他の問題にも取り組みます。小問の中には実は簡単に答えられるものもあります。それらの上積みを含めて,何とか7割確保すれば万々歳です。当然のことですが,ほとんど読めなかった問題も必ずマークはして下さい。

 以上は,一部に苦手なジャンルがあるという人にも適用できる方法論でしょう。取り組みやすい文章についてまずしっかり読解を行い,この部分の点数を確保します。残り時間でぎりぎりまで粘って苦手ジャンルの問題を考え抜きましょう。

 このように見ていくと,DNCの場合は問題を選ぶ目「選球眼」が重要であることになります。どの問題をしっかり取り組むのか,どの問題を後回しにするのか,ということが重要になります。これは意識して取り組むべきことです。時間が足りないという人は是非,オープンや模擬試験でこの「選球眼」を意識してみましょう。そしてそれらの試験の後で,自分の判断はよかったのか,もし問題があるとしたら,その判断はどこに着目してどのように修正すべきだったのか,といった反省をして下さい。それを次のオープンや模擬試験で生かしてみて下さい。

4 JLF版では

 JLF版の場合は4問しかありませんから,1問丸々捨ててしまうという訳にはいきません。しかし,読みやすい問題から手を付けるということは試みてよいでしょう。

 JLF版でのポイントは,解きやすい問いを見つけて確実に正解し,点数を積み上げることです。まず必ず,問いを見ながら文章を読みましょう。一通り課題文を読んでから,設問に答えるといった悠長なことをしてはなりません。答えられる問いにどんどん答えていくことが大切です。これは例の「均一配点」と絡みます。苦労して考え抜いて答えた1問分と,見ただけで答えられる1問分は,結果として同じなのです。考えにくい,答えにくい問題はどんどん「捨て」ましょう(もちろん,一通り解き終わった後で時間の許す限り考えることになります)。JLFでの小問は課題文中の対応する箇所の順番に配置されていますから,難易度の順には並んでいません。小問の後ろの方に取りやすい問題があることもあるのです。そのような問題を「捨てて」しまってはもったいないでしょう。

 つまり,JLF版では答えにくい問いを後回しにして,答えやすい問いをかき集めて6割超えを狙う,ということになります。

 もちろん,DNC版に比べて文章が長く,制限時間も厳しいですから,時計とにらめっこしながら問題を解くことになります。小問の後の方に簡単な問題があることは確かですが,大問1問を最後まで読み解くことに時間をかけてしまって,他の大問を丸々落としてしまっては意味がありません。

 JLF版では限られた時間の中での優先順位の判断が大事なのです。これは法律家の実務でも常に求められることです。5分の時間しかないときの応答と,1時間かけられる時との応答とは区別されなければならないと言います。限られた時間の中で,最大限のことを追求する,そういったスタイルを意識してみて下さい。

 以上,ずいぶんと「悪魔的」な対処と思われた方もいらっしゃるかと思いますが,時間という制約条件がある以上,致し方ありません。結局は,そこでの割り切りが試験という場では大切になるのです。頑張りましょう。

 

 
 
 
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