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              そして、それを支援される親御さんへ

 

■公開:2014年11月25日

2014年11月
辰已法律研究所
所長 後藤 守男
 
 

 いま法曹養成の世界は大きな混乱と困惑に充ちています。

 
 いわくロースクール入学志願者数より予備試験志願者の方が数が多いのは問題である云々、いわくロースクール出身者の司法試験合格率が低迷し(25%以下)、予備試験合格者の合格率(70%)に大きく水をあけられている云々。
 しかし他方、能力ある若者が大学在学中に敢然と予備試験に挑戦これを突破、さらに息をもつかずに半年後の司法試験に上位合格しているという現実があります。
 皆さんは、利害関係者のそれぞれの思惑ある議論ではなく、本当に必要な「リアルな状況」を正確に把握する必要があります。その上で他の誰のためでもない、自分自身のための「戦略」を周到に練り上げた上で断固実行し成果を上げるべきです。
 その一助になるべく本リーフレットを作成いたしました。
 ご参考になれば幸いです。
 本冊子を手にされた学生の方は、これをぜひあなたの親御さんにもみせてあげてください。支援をしてくれる人が正確な認識をもっていることは大きな力になる筈です。

 
 【T】ロースクール or 予備試験という二択発想の誤り
 

結論:在学中に予備試験を受験することを軸とした学習戦略をたてるべきである。

 
 具体的には、@3年生の5月に予備試験第1回目受験、A4年生の5月に予備試験第2回目受験、首尾よく合格できればよし、B不首尾であったときは秋にロースクール入試で上位校を狙う、というコースが理想であると思います。
 
戦略Merit 1
法曹を目指すために必要な高いモティベーションを
1年次・2年次の段階からしっかり維持できる。
 
  学部に入学した当初は誰でも法律学習に対して大いなる意欲をもっています。しかし、在学中の具体的な目標がなければ、必ずモティベーションが下がります。ロースクール入試一本に絞っていた場合、ロースクール入試は4年生の秋になりますので、それまで戦闘的な意欲を維持することはとても難しいのです。もし4年生になって俄かに法律専門科目対策を始めたらとても上位校を目指すレベルにはなりません。ところが、3年次に予備試験を受験しこれを突破、4年次に司法試験まで強行突破するという非常に高い目標をあなたがもっていたらどうでしょうか。あなたは1年次から法律専門科目をしっかりと学習せざるを得ません。これが大切なのです。しかもその学習効果は必ず学部の成績にも反映されますので、大変ではありますが、その努力には全く無駄がありません。
 
戦略Merit 2
法曹を目指す学習としてのコストパフォーマンスが抜群によいこと
 
 予備試験はきわめて高度な法律専門試験です。この試験で短答試験に合格するレベル(合格率20%)にもし在学中に到達することができれば、ロースクール既修者コース入試は楽勝です。上位校を狙い、且つ学費全額免除を獲得することが十分射程に入ってきます。
 さらに、予備試験における厳しい学習経験を持つあなたは、ロースクール入学後も司法試験に対して非常に高いモティベーションを維持し続ける筈です。予備試験の雪辱を司法試験上位合格という結果で果たすためです。
 つまり在学中に予備試験を軸とする学習を進めることは、極めてコストパフォーマンスの高い戦略であるといえます。
 【U】予備試験は難しすぎる? 予備試験の正確な現状を知っておこう。
 
  2014年予備試験 合格者
受験者数 合格者数 占有率 合格率
全体 10,347 356   3.4%
大学卒業 3,584 34 9.6% 0.9%
大学在学中 2,876 114 32.0% 4.0%
法科大学院在学中 1,891 168 47.2% 8.9%
法科大学院修了 919 32 9.0% 3.5%
結論:予備試験は、内容・合格率ともに大変難しい試験です。その内容は、司法試験の簡易版ともいえ大学の学部試験のレベルをはるかに超えています。
しかし・・・・
 
 合格率3.4%という数字が相当のプレッシャーであることは間違いありません(cf. 同年司法試験合格率22.6%)。しかし、予備試験における大きな傾向(問題?)として指摘されていることは、大学在学生及び法科大学院在学生の占有率の高さです。両者で8割を押さえています。法科大学院在学生が予備試験合格者の半数近くを占めていることには、率直にいって奇異な印象があり制度設計の破綻を示しているとみる人もいます。いまはその議論は措くとして、注目すべきは大学在学生が合格者の三分の一を占めていることです。彼らの合格率は大学卒業生の3倍以上です。なぜこのような現象が起こるのでしょうか?大学在学生は、学校の単位も取得する必要があり学習時間は必ずしも十分ではありません。しかし、予備試験という難関を短期間で突破していく。それはなぜか。在学合格者の多くがいわゆる受験偏差値上位校であることは事実です。しかし、それではなぜ上位校の大学生は軽々と予備試験を突破していくのでしょうか。多くの在学合格者に接した私の経験では、問題はいわゆる偏差値にあるのではなく、受験に対するノウハウを身に付けているかどうかです。但し、ここでいう受験ノウハウとは、浅薄な方法論ではなく、学習の方向性です。彼らは徹底したアウトプット型の学習をします。長々と入門的知識学習に時間を費やすことはありません。彼らが修得している知識は「量」は少なくとも、「質」と「ベクトル」が正しく予備本試験の方向性と一致しているのです。焦点は知識の量や程度ではなく、知識の持ち方のベクトルにあるのです。もしこの点を体感・体得することができれば、別段大学受験偏差値上位校在学生でなくとも結果は出せる筈です。
 そこで辰已法律研究所では、予備試験を軸としたスキームを構築するにあたり徹底したアウトプット型のインプットを目指しました。ぜひパンフレットをご覧ください。
 【V】ロースクール入試システムは、余りにも複雑になりすぎている?
 
 法曹志望者の人材選抜システムはかつて極めてシンプルでした。問題は出口だけであり「旧司法試験+司法研修所」以上証明終わり、これで最大50,000人から最大1,500人を選抜していました。これに対して、新システムでは「入口」が少々持ち重りがしてきています。法曹部屋に入ろうとする人間が減少しているのに、なぜか扉がいくつもあり、それぞれ違う鍵で施錠されている。これでは部屋に入ろうとする人にとって面倒くさいことこのうえない。適性試験という意味のよく分からない試験を強制的に受験させられ、その後各ロースクールの入試に進むが、殆どのLSが定員割れを起こす状況ではブランド校以外では入試の人材選抜機能は著しく低下しています。そのうえ簡単に入れてくれたロースクールが今度は出してくれないという現象が起こっています。(未修者コースの標準年限修了率が53%!)。さらに、全国共通の到達度確認テストというアイディアが導入されロースクール生には益々負荷がかかりそうです。なぜもっとシンプルにできないのでしょうか。実は、大学在学生の大量の予備受験という現象には、この入口システム全体へのウンザリ感もあるのではないでしょうか。ところがシステム設計側には、システムをもっとユーザーフレンドリーにしようという改善意識はなく、学生が予備試験を受験し合格していくことをまるでズルをしているかのような、あるいはズルを許す制度が悪い、というような不満ばかりを並べ立てています。これでは、ユーザーである法曹志望者の気持ちは遠ざかるばかりです。そこにさらに出口である司法試験制度に対症療法を施そうとする。各試験制度はシステムとしてダイナミックに連動しているのであり、一つをいじれば必ず他のシステムに影響が出てきます。今こそ入口と出口を俯瞰したトータルな再グランドデザインが求められているのではないでしょうか。
 問題は多く、各種利害が錯綜して抜本的な解決は困難です。かかるとき、全国の大学在学生が3,000人近くも、難関である予備試験に果敢に挑戦してくれていることは逆に日本の法曹の将来にとっては希望の光ではないでしょうか。私が、予備試験を軸とした学習戦略を取ることをお勧めする理由もここにもあります。同時に、それは、皆さんにとって最も賢明な戦略であると確信しています。ご健闘を祈ります。
 
 
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