先日,平成23年の本試験の成績表を受領されたかと思いますが,全体の結果はどうでしたか。
総合成績については真ん中より少し下くらいでした。
次に,論文の科目別の成績はどうでしたか。
公法系,民事系については,平均,あるいはそれを下回る点数で,正直あまり良くありませんでした。選択科目は労働法ですが,50点は取れていたので,まあまあかなと思います。それに比べて刑事系はものすごく跳ねて,141点という高得点がつきました。
刑事系が特によい成績ですが,その点についてはどのように思われましたか。
刑事系の結果には驚きました。他の科目はそれほど良くなかったので,刑事系の点数がこれほど跳ねなければ,落ちていてもおかしくなかったなと思いました。刑事系に救われたなという印象を受けました。
刑事系は得意科目ですか。
それほど得意ではありません。特に刑法なんかは多くの受験生がある程度しっかり書ける科目なので,どちらかといえば苦手意識をもっていたくらいです。一応あまり得意・不得意をつくらないように,バランスよく勉強するよう心がけてはいましたが。
では,刑事系がここまで伸びた原因は何だと思いますか。
他の科目と同様に,過去問の研究などはきちんと行い,ある程度どこが出てもそれなりには書けるという準備はできていました。それでも,他に比べて刑事系が跳ねたのは,本試験で,辰巳のスタ論で一度書いていた「正当防衛」,「別件逮捕」が出題されたことが大きかったように思います。本試験の出題の趣旨が出た後,スタ論のレジュメを確認しましたが,刑法については出題趣旨で触れられている参考判例3つのうち,2つが掲載されていましたから,やっぱり答練が的中したんだなと思いました。
スタンダード論文答練で正当防衛・別件逮捕の問題を書いて復習して臨んだ本試験で,刑事系の問題文を見たときの感想はどうでしたか。
まさか答練が的中するとは思っていなかったですし,刑法,刑訴と続いたため,正直とても驚きました。それと同時に,辰巳で出たテーマなので,「これはきっとみんな書けるだろう。まずいな。」と思いました。
正当防衛は考査委員や学界の関心分野であり,最新判例も多いことから,御自身でもある程度は出題を予測していましたか。
あまりヤマを張ることはしないようにしていたので,特別予測はしていませんでした。ただスタ論ではうまく書けなかったので,解説講義を聴いた後,解説レジュメをよく読み,裁判例も読み直しました。ゼミを組んでいた友人と議論したりもして,もし出題された場合には,判例の枠組みに沿って書けるようにはしていました。
別件逮捕の方は,どうでしたか。
別件逮捕については,本試験で出題されていないテーマだったので,多少意識はしていました。でも,やはりこれについても,スタ論での出題が復習のきっかけになったと思います。本件基準説,別件基準説のいずれでも書けるように,学説を確認しましたし,スタ論解説レジュメでも近時の有力説として紹介されていた川出先生の見解も確認しました。本試験では身柄拘束の適法性が問われていたため,別件基準説では論じにくく,川出先生の見解で論じることにしましたが,点数から考えて一定の評価を得られたものと思います。
やはり本試験に出題されたテーマ・論点について,一度答練で書いていたか否かで差がつくと思いますか。
それはやはり大きな差になると思います。もちろんきちんと復習して,「きちんと書ける」というレベルで理解し,ものにしておくことが重要だとは思いますが。
辰已の論文答練の出題に際しては,本試験に近い思考過程のものを出題することを最大限重視しており,その付随的な結果としてテーマ・論点の的中実績を重ねていると思っているのですが,スタンダード論文答練・新司全国公開模試を受講されて,本試験と同様な思考過程であると実感されましたか。
全てが全て,そうとは思いませんが,本試験に似たような問題,出そうな問題は多かったように思います。
テーマ・論点の的中実績こそが本試験の思考過程に近い答練と概ね考えてもよいですか。
そうですね。的中実績があるということは,それだけ本試験に近い答練といえるのではないでしょうか。
他にスタンダード論文答練・新司全国公開模試に関する感想はありますか。
スタ論,公開模試,ともに母集団の数が多いため,自分のおおよその位置を把握したり,点数の相場観のようなものが分かるというメリットがあると思います。本試験は相対評価で決まるので,自分の位置を把握したり,点数の相場を知ることは合格までの戦略を立てる上で重要だと思います。また,本試験は一発勝負の試験なので,本試験に近い問題で,本試験と同じ時間,同じような環境で,真剣に問題に取り組むという練習を数多くこなす必要があります。そういった面から,辰巳のスタ論,公開模試は有益なものでした。
最後に来年の受験生の皆様へのアドバイスをお願いします。
本試験までに何かを完璧にするということはできないですし,本試験で完璧な解答をすることは不可能だと思います。相対評価で決まる以上は,「何が出てもある程度書ける」というレベルに達するように準備をする必要があります。答練は,あるテーマ・論点について,自分が「書ける」か「書けない」かを確認する絶好のチャンスです。そこで書けなかったものについては,しっかり復習して,「書ける」レベルで理解していくべきだし,そういった地道な作業を怠らずにいれば,必ず良い結果が出るのではないかと思います。皆様の来年度の合格をお祈りしております。
ありがとうございました。 |