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■公開:2017年09月20日
■更新:2017年09月23日

■INDEX
 2017年最新合格者体験談
  →大橋 政之さん 名古屋大学法科大学院既修コース2017年卒業/司法試験1回目合格
  →小牧 俊さん 予備試験2016年合格/司法試験1回目合格
  →三浦 知草 予備試験2016年合格/
一橋大学法科大学院既修2年在学中(退学予定)/司法試験1回目合格
  →山内 英一さん 早稲田大学大学院法務研究科既修コース2017年卒業/
司法試験1回目合格
  →金本 忍さん 法政大学法科大学院既修コース2014年卒業/司法試験4回目合格
★2016年 司法試験合格体験談はこちら
  

難しいことは考えなくていい!
みんなが書くことを書けば合格できる!!


PROFILE
2017年 司法試験合格者 
大橋 政之(オオハシ マサユキ) さん

1

出身大学・学部 三重大学人文学部

2

名古屋大学法科大学院既修コース,2015年入学、2017年卒業

3

司法試験受験歴 1回

4

受講歴

 

2016年予備総択、予備試験口述模試、2017年スタンダード論文答練第1クール・第2クール(選択科目含む)、 2017年スタンダード短答オープン、2017年全国公開模試
 
1 司法試験の受験を決意した経緯

 

 私は、法曹になることに興味がありました。もっと言うと、法曹以外になることには興味がありませんでした。自分のやりたいことを仕事にしたかったので、司法試験に合格することを目標としました。
   
2 合格までの道のり
   私は、常に「今自分がやっている勉強は果たして合格するために必要なのか」と自問しながら、司法試験合格の観点から必要十分な学習につとめてきました。最初は、手当たり次第に勉強をしていましたが、それでは無駄の多いことに気づきました。このまま無駄の多い学習をしていたのでは絶対に合格することはできないと危惧したので、自分の勉強を司法試験合格にピントを合わせることにしました。最終的には、条文素読、過去問分析、論証の3つに落ち着きました。以下、何をどこまで学習すべきかを順に説明します。
   
3 法科大学院受験前の学習状況
   私は、地方の国立大学に通っていました。経済と複合した学科でしたので、法律以外の授業も履修していましたし、また、履修していない法律科目もありました。法科大学院受験を意識して勉強を始めたのは4年生の前期です。しかし、私と同じように法科大学院を受験する人は周りにほとんどいませんでしたので、ひとりで予備校の教科書を読んでいました。私は、もともと未修で入学することを考えていましたので、法律学習にあまり時間を割きませんでした。
   
4 法科大学院入学後の学習状況
   法律学習が未熟なまま既修に入学してしまった私は、他の入学者と明らかにスタートラインが異なっていましたので、既修1年前期は一番苦しい時期でした。その頃は、予習や課題中心の学習となっており、自分の勉強をすることができませんでした。しかし、「今自分がやっている勉強は果たして合格するために必要なのか」と自問したところ、予習や課題をこなしていても、それだけでは司法試験に合格することはできないという結論に達しました。
そこで、既修1年後期からは、予習や課題に割く時間を減らし、演習中心の勉強を開始しました。つまり、アウトプットを前提とした学習です。私は、市販の演習書や法律雑誌の演習をひたすらに漁り、具体的な事案に触れながら問題を解くことで、司法試験合格に必要な知識を身につけていきました。このような学習方法に変えていきましたので、また、私は基本書等を読んでも問題を解ける自信がなかったので、基本書等を読み込むことは一切しませんでした。市販の演習書や法律雑誌の演習で具体的な問題を解くことに慣れてきたのはそれから半年後のことです。
既修2年の春頃から司法試験の過去問を分析し始めました。最初の頃は2時間で書ききることすらできませんでした。初めて過去問を見たときの絶望感は今でも憶えています。しかし、比較的早い段階から過去問に触れることで、いよいよ司法試験合格のための学習をしなければいけないという焦りを抱くことができたのは良かったと思います。
   
5 私の勉強方法
  (1)過去問の分析
私が最も重点を置いてきた勉強は、過去問の分析です。司法試験合格の観点から必要十分な学習として過去問の分析は欠かせません。なぜなら、過去問の分析を通じて、司法試験考査委員の出題意図に沿った答案を書くことができるようになるからです。
過去問の分析に欠かせないのが、出題趣旨、採点実感等に関する意見、辰已のぶんせき本です。出題趣旨、採点実感等に関する意見を読み込むことで、どの論点をどのくらいの分量で書くべきかなど出題者の意図を汲み取ることができます。とくに、考査委員が重複していて出題傾向が近い直近3年分は徹底的に読み込む必要があります。私は、直近3年分についてはファイリングして、いつも持ち歩き、通学中の隙間時間とかでも読めるようにしていました。司法試験は、受験生と考査委員との間でなされる紙面上でのコミュニケーションですので、考査委員の意図を汲み取らなければなりません。
次に、ぶんせき本ですが、ぶんせき本の最大の価値は、優秀答案から不合格者答案まで広く掲載されている点にあります。自分の答案と受験生の答案を比較して、自分の出来なかったところ、出来たところを洗いざらいにして、次につなげられるようにしましょう。優秀答案を分析することはもちろん大切ですが、私は、むしろ不合格答案を分析することの方が重要だと考えます。つまり、“合格するためには、何をすればいいのだろう”と考えるのではなく、“不合格にならないためには、何をしてはいけないのだろう”と考えることが大切です。出題趣旨や採点実感等に関する意見を読みながら、なぜ、この答案が不合格なのかを分析することで、およその配点割合を推測することができます。
 
  (2)論証集への情報一元化と条文素読
次に、私が採用した勉強方法は、既存の論証集に情報を書き足していき自分だけの参考書を作ることです。上記のような過去問分析と並行して、出題年度、優秀答案の論証の削り方、事実の拾い方、評価の仕方等を、論証集にメモしていきました。私はいつも論証集を持ち歩いていましたので、論証集に書いたことはいつでも見直すことができました。
また、当たり前のように思えるかもしれませんが、法律の学習においては条文を読むことを怠ってはいけません。私は、常に条文の文言にこだわった答案を書くことを意識していました。論証集で覚えた論証が、条文のどの文言と結びつくのかを考えながら学習することで、論証の定着率がぐんと上がった気がします。特に、直前期では条文の素読を何回も行い、条文の文言から、その条文にまつわる論点を思いつけるかどうかを何度も訓練しました。
 
  (3)難しいことは考えない
過去問の分析を繰り返していると、受験生が何をどこまで書くことができるのか把握することができます。司法試験は相対評価ですので、大半の受験生が書けなかった問題を解けるようになる必要はありません。私は、常に「一応の水準」の答案を書けるように努力しました。友人とのゼミにおいても、どこまで書ければ「一応の水準」になるか、ここから先は書けなくても合否に影響がない、といったことを重点的に話し合いました。そうすると、“難しいことは考えなくていい!みんなが書くことを書けば合格できる!!”ということに気づきました。実際に、私の答案には当たり前のことしか書かれていません。
   
6 辰已講座の利用方法とその成果
   私は、2017年スタンダード論文答練(スタ論)第1クール・第2クールを受講しました。なぜ、スタ論を受講したのか、しかも第1クールから受講したのかというと、それは、答案練習をペースメーカーとして学習を継続させたかったからです。
第1クールが始まった10月の段階では、一通り過去問の検討を終えていました。そのため、スタ論に集中して取り組むことができました。私は、司法試験本番になるべく近づけて答案練習をしたかったので、毎週欠かさず辰已名古屋本校に通って答案を作成しました。また、答案作成後のライブでの解説も欠かさず聴講しました。とてもハードな内容でしたが、問題を解いた後にすぐ解説を聴き復習できるのは非常に良かったと思います。また、答案練習を通して、配点割合を意識したメリハリのある答案を作成することができるようになりました。
   
7 私が使用した本
   上記のとおり、私の勉強方法は過去問分析を重点的に置いたものでしたので、ぶんせき本は必須でした。私は、平成18年度から28年度までのぶんせき本を持っていました。ぶんせき本には、出題趣旨、採点実感等に関する意見がまとめてあるだけでなく、講師作成の解説、コメント、優秀答案、不合格答案等、幅広く掲載されていますので、非常に読みごたえのある参考書です。サイズが大きくて持ち運ぶことは難しいですが、その代わりに、司法試験合格に必要十分な情報が集約されています。過去問分析をする上で、ぶんせき本は必須の教材だと言っても過言ではありません。
また、短答試験対策としては辰已の肢別本をアウトプットを介したインプット教材として活用しました。肢別本には新司法試験で出題された肢だけではなく、旧司法試験や予備試験で出題された肢も掲載されていますので、情報量は申し分なく、肢別本を集中的に潰せば短答試験対策はばっちりです。私は、普段の学習から、知識の整理や法科大学院の予習復習として肢別本を解いていました。最終的には、憲法、民法、刑法それぞれ7周ずつくらい回しました。短答試験対策はなるべく早くからやるべきです。
   
8 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
  当初、私は法科大学院の予習と課題に追われてしまい、自分の勉強をすることができませんでした。私の反省点は、法科大学院入学後半年間は過去問の分析をしなかったことです。過去問の分析が遅れれば遅れるほど、合格への道のりは遠のいてしまいます。これから司法試験に立ち向かっていく人たちには、ぜひとも、できるだけ早く司法試験の問題を解いてほしいです。
そして、司法試験を難しい試験だとは考えないでほしいです。みんなが書くことを書けば合格できるはずです。
  

自分の決めた道なら全力で


PROFILE
2017年 司法試験合格者 
小牧 俊(コマキ シュン) さん

1

出身大学・学部 中央大学法学部法律学科

2

予備試験2016年合格

3

司法試験受験歴 1回

4

受講歴

 

スタンダード短答オープン(第1クール、第2クール)、スタンダード論文答練(第1クール、第2クール)、全国公開模試
 
1 司法試験の受験を決意した経緯

 

 私は、もともと大学に入った当初から法曹になろうとしていたわけではありません。大学で、法律の授業に触れるうちに法律に関心興味がわき、自分も法律を最も身近によく扱う法曹になろうと決意しました。また、家庭の状況から、ロースクールへの進学は不可能だったので、大学在学中に決着をつけるために、予備試験に3年で合格して、できるだけ在学中に司法試験に合格しておきたいと思い、予備試験ルートでの合格を目指しました。幸いにも、三年次に予備試験に最終合格できたので、特に受け控える理由もなかった以上、そのまま司法試験の合格も目指し、一発で合格することができました。
   
2 予備試験合格までの学習状況(法律学習)
   基本的には、細かいことを除いて、まず毎日12時間以上勉強をすることを絶対に順守していました。朝の8時に勉強を開始して、夜の2時くらいまで勉強していました。択一の勉強はほとんどやらずに、論文の勉強をメインにしていました。
   
  (1)短答対策
辰已の予備試験スタンダード短答オープンをとっていましたが、2年次に短答試験に合格していたため、問題を解くことはせずに、予備試験の直前までためておきました。そして、予備試験短答の二週間前くらいになると、ためていた問題を解き始め、間違った問題は、最終的には5週程度しかと思います。
進め方としては、2秒間考えて理由をつけて回答に至らなかった場合は、即×にして×が消えるまで同じ方法で何度も繰り返していました。最初に〇がついた問題は、最後まで手をつけませんでした。結果的に予備試験択一の本番では、120位程度(法律176点)とかなりいい順位で合格することができたので本番への弾みにもなりました。
 
  (2)論文対策
2年次に予備試験の論文試験に落ちたときから、辰已の予備試験のスタンダード論文答練(予備スタ論)を受講しました。2年次に不合格に至ったのは、時間不足と演習不足、知識不足であることが明らかであったので、予備スタ論の当日までに当該科目の演習をしっかり積んでおいて、現場でしっかりと演習することで、上記の課題を克服するようにしました。目標としては、どんなに問題が難しくても、常に30点以上をとることを目標にしていました。30点を下回った場合には、そうなった原因がどこにあるかを探したうえで、原因が特定できたら、論文で注意すべき点をまとめたノートを作っていたので、それに記載して二度と同じ間違いを犯さないように心がけていました。30点以上のときは、もっと点を挙げることができなかったかどうかを、拾えきれなかった事実があったかどうかを確認して、点のいかんにかかわらず、受けっきりにせず、毎回何か得られるものを探していました。第1クール、第2クール、直前答練を含めてかなりの問題量をこなすことができたので、本番でも落ち着いて臨むことができました。
 
  (3)口述対策
9月の中旬くらいから、旧司法試験時代の口述の再現を入手して、それを何度も口に出しながら覚えました。刑事系に関しては、第一審公判手続の概要で手続を完璧にしておきました。民事系に関しては、大島先生の要件事実を使って、基本的な要件事実については、完璧に理解しておきました。口述に関しては、特定の範囲から出るというものではなくて、全範囲から網羅的に出題されるので、満遍なく対策する必要があると思います。
緊張して初日の民事はかなり失敗しましたが、刑事の出来がかなり良かったので、終わった瞬間受かったと思いました。本番のプレッシャーに押しつぶされないように頑張るのが一番かと思います。
   
3 予備試験合格後から司法試験まで
   選択科目は倒産法にしました。2年生のころから、少しずつ勉強していたことや、自分が将来やりたい仕事との関係でも、倒産法以外の選択はあり得ませんでした。予備試験合格前から十分な対策を行っていたこともあって、そこまで、時間に切羽詰まって行うことはなかったです。予備試験に合格された後に、新たに初めて選択科目の勉強を行う方は、倒産法はやめておかれた方がいいかと思います。量的にも民訴と同じくらいあって合格後に詰め込むにはかなりつらいです。
   
  (1)選択科目(倒産法)
演習本『倒産法演習ノート』、『ロースクール倒産法』
『基礎演習倒産法』、『ロースクール演習倒産法』
参考書『倒産法・民事再生法(伊藤)』、『民事再生法(松下)』
『条解倒産法(弘文堂)』、『条解民事再生法(弘文堂)』
以上のものを受験ではメインで使用しました。特に重視して行ったのは、倒産法演習ノートです。この問題集はかなり難しかったですが、ここに書いてある内容は、解説も含めて完璧に理解しておきました。あとは、過去問演習です。きちんと3時間位以内に書けるように確認するために時間を計って起案をしていましたが、時間が30分以上余ることが普通だったので、そこまで重視していなかったです。辰已の選択科目集中答練を受けさせていただいていたので、そこでインプットの機会を得つつ、できなかった問題に関しては、完璧に理解するまで何度も復習を行っていました。
   
  (2)法律科目
基本的には、今までやってきた科目の学者本の復習しか行っていません。あとは、辰已のスタンダード論文答練(スタ論)を受けて、そこで、司法試験の長さに慣れつつ、司法試験の起案も答練のない日は最低1問は起案していました。起案した答案は、誰かと添削しあうのではなくて、辰已の上位答案本を読んで、その答案と自分の違いを把握したうえで自己添削を厳しく行っていました。合格ギリギリの答案を読むといったことは特に行いませんでした。
あとは、司法試験の問題を解くごとに採点実感で相手方の求めていることを常に把握することは行っていました。最終的には、司法試験までで、24年から28年までの司法試験の問題は、3周以上は全科目行いました。なによりも、過去問の分析が必要なので、過去問は一回の起案で終わりにしないようにしましょう。非常にもったいないです。スタ論も毎年かなり的中を出しているので、3回ほど、できた問題できなかった問題を問わず復習をすべて行いました。
   
4 受験対策(辰已講座の利用)
   予備試験の時と変わらず受けていたので、司法試験との間に大きな差異を感じることはありませんでした。点の大小によらずに常に復習は少なくとも3回はしており、点の大小で反省すべき点を変えていました。できなかった場合は、なぜそれができなかったのか、できるためにどうしたらいいのかを考えていました。また、全体の順位と科目の順位が細かく出るため、ロー卒の人たちや、ライバルである在学予備試験合格者との間で自分がどの位置にいるのかを適切に把握することができました。常に、その人たちの中で、上位の4分の1くらいにいようとの心構えで答練に臨んでいました。特に学生は、他の人の出来具合を知ることが難しいので、辰已の成績表は、自分がロー卒の方との間でどこら辺にいるのかを確認するための良い資料となりました。
   
5 これから受験する人へのアドバイス
  予備試験ルートからの司法試験ルートは確かに最短ルートとは言われますが、かなり厳しい道のりであることは間違いありません。予備試験の厳しい選抜に生き残るために、死ぬほどの勉強を継続して行わなければならず、その後の司法試験も苦しいですが乗り切らなくてはなりません。私自身が選択した道なので、自分が今受験時代に勉強ばかりしていたことに全くの後悔や不安はそこまでありませんでしたが、試験直前でつらいときは、それでも今の自分は自分自身が決めたことなのだと踏ん張って勉強するように心がけていました。
合格するためには、確かに周りの声も必要ですが、何よりも大事なのは折れない強い心を持った精神力です。皆さんも、一度自分がなぜ司法試験合格を目指すのがしっかり考えたうえで、しっかり勉強を頑張っていただきたいと思います。常に報われるのは、最後まで努力し続けた人です。皆様の合格を心からお祈り申し上げます。
  

論文が書けるようになるには、とにかく自分の手を動かすことが大切です。


PROFILE
2017年 司法試験合格者 
三浦 知草(ミウラ チグサ) さん

1

出身大学・学部 中央大学法学部法律学科卒業

2

予備試験2016年合格/一橋大学法科大学院既修2年在学中(退学予定)

3

司法試験受験歴 1回

4

受講歴

 

2017年スタンダード論文答練第2クール、選択科目集中答練、全国公開模試
 
1 司法試験の受験を決意した経緯

 

 私は国立大学の受験に失敗し、中央大学に入学しました。大学では司法試験対策のゼミや研究室、同じく法曹を志すたくさんの同輩先輩がいるなど、受験対策の環境が非常に整っていたため、受験のリベンジという気持ちもあり司法試験合格を目指すようになりました。
   
2 予備試験合格までの学習状況
   学部1年のころから大学での司法試験向けの講座やゼミに参加したり、辰已のえんしゅう本など易しめの問題を解くなどしてコツコツ勉強していました。
当時は現実的には予備試験合格は難しいだろうと考えていたので、学部3年の夏ころからはロースクール受験対策をメインに勉強をしていました。私は短答の勉強が嫌いだったので、短答の知識はロースクールの過去問など、論文の問題を多く解いたり、基本書を見る、授業を聴いて覚えるなどの方法が中心で、家族法や統治、会社法の択一プロパーの分野などを辰已の肢別本で勉強して補うようにしていました。
年が明けてからも、ロースクール受験対策が中心でしたが、辰已の予備試験総択を受験した際に、思いがけず短答合格圏内の点数が取れたため、そこから少し力を入れて対策するようになりました。
直前期には予備試験総択の解説を読み込んだり、肢別本の★マークの問題でできなかったものを2、3回解いたり、過去問を数年分解くなどの対策を行いました。
短答合格後も、ロースクール受験対策と予備試験対策を並行して行いました。そのため、解けた過去問の数は比較的少ないと思います。合格者の先輩に添削やゼミをしてもらってなんとか対策をしていました。
ロースクール受験と同じ年に論文式を受験したため、非常に日程はタイトでしたが、予備試験を終えてロースクール受験に臨むと、問題も簡単に感じ、緊張も緩和されるので、同時並行はメリットの方が大きいと感じました。
論文式のあとは不合格前提でロースクール受験に専念しました。そのため、口述の対策を全くしないまま論文合格発表を迎え、2週間「とても間に合わない…」と絶望的になりながら口述の準備をするはめになったのが反省点です。
   
3 予備試験合格後の学習状況
   短答の勉強は直前期までほぼ行わず、専ら論文対策に絞りました。過去問5年分を時間を計って解き、わからなかった部分を基本書や百選、学部の授業レジュメで復習するというやり方で勉強していました。また、行政法は解きながら考える余裕はないと感じたので、辰已の趣旨規範ハンドブックをもう一度一通り見直して、知識にあやふやなところを作らないようにしました。
また、辰已のスタンダード論文答練(スタ論、第2クール)を1月から受け始めました。スタ論は、書く分量や時間に慣れるとともに、毎週コンスタントに答案を書くことになるので非常に力がついたと思います。
選択科目については、ロースクール生とは勝負できないだろうと感じたので、国際私法を選択しました。基本書を一通り読み、趣旨規範ハンドブックに書き込みをして覚えるようにしました。また、辰已の選択科目集中答練を受講しました。今まで書いた経験のなかった選択科目の答案を毎週集中的に書き、参考答案や解説で復習することで、最大の懸案だった選択科目を乗り切ることができたと思います。
4月には辰已の全国模試を利用しました。本番での時間配分や疲労の具合などをシミュレーションすることができました。この模試で短答の点数が大丈夫そうだとわかったので、家族法分野のみもう一度復習し本番まで論文に集中しました。
4月からは、一橋大学ロースクールに入学し、授業にも出席しました。周りからは「司法試験近いのに大変じゃない?」と言われましたが、強制的に毎日規則正しい生活ができ、周りの人とも毎日おしゃべりができたおかげで、心身ともに良いコンディションで司法試験に向かえたと思います。また、直前の民法の授業で扱った論点の一つが出題されたこともあり、結果的にロースクールに通う選択をしたことはプラスに働いたと思っています。
    
4 辰已講座の利用方法と成果
  (1)予備試験に向けては口述模試。
予備試験合格には口述模試は必須と言っていいと思います。本番の会場ではかなり緊張するうえ、書くことはできても意外としゃべれない場合があるので、一度試験を体験しておく方がよいです。
   
  (2)司法試験対策は、スタ論(第2クール)、選択科目集中答練、全国模試。
スタ論とは、モチベーションが上がらなかろうがあまり勉強していない科目だろうがとにかくコンスタントに論文を書いたことで、かなり力が付いたと思います。
選択科目集中答練は、フルコースで受けることでほぼすべての既出論点を網羅できたと思います(国際私法)。予備試験合格で、短期で仕上げざるをえない受験者には特におすすめです。通信でなく辰已校舎に来て受けることで、自分自身を半強制的に勉強に向かわせることができ、あまりやる気のないような期間にも停滞せずに済みました。また、自習でエアポケットになっていた部分にも気づかされました。
全国模試は、本番のシミュレーションになるので是非受けた方がいいと思いました。時間配分や、頭や手の疲労の具合もわかるので、できれば本番と同じ日程のコースを受けるのが効果的かと思います。
   
5 私がやって成功した方法等
  とにかく条文をひくことは留意して勉強しました。
  まとめのメモ等を作るときには、「メモを作ること」のみに集中するのではなく、書くことそれ自体で記憶するように心がけました。
  情報を趣旨規範ハンドブックや授業レジュメなど、固定の一冊に固めました。当該論点とともに覚えたい事項等を書き込んだり、参照する基本書の頁をメモしたりして趣旨規範ハンドブックを見れば覚えるべきことがすべて見られるようにしました。
 
タイムリミットがある中での勉強なので、わからないことにあまり拘泥せず、全体を底上げすることを意識しました(一つわからないことが致命的になることはあまりないので)。
   
6 使用した本
  ①趣旨規範ハンドブック(民事、刑事、公法、国際私法)
②実務基礎ハンドブック(辰已、予備試験口述のため)
③肢別本
④松岡博『国際関係私法入門』有斐閣
 
①は、情報を趣旨規範ハンドブックに集約するようにして受験の直前まで使っていました。綺麗にまとまっている本なので、自分で一からまとめを作るよりずっと効率的にできると思います。特に国際私法を選択する場合には、書き方を学べるものが他にあまりないので必須アイテムと言っていいのではないでしょうか。
②は、口述試験で短期間に知識を定着させなければならない場合に適しています。特に刑事実務基礎は、私はほぼハンドブックのみで乗り切りました。民事実務基礎についても、要件事実が非常にわかりやすいので、あまり要件事実になじみがない人でも使いやすいと感じました。
③は、★マーク問題のみ解いていました。判例百選を使用している場合には、判例の番号がついているので使いやすいと思います。
④は、国際私法を選択する場合にはおすすめの基本書です。あまり厚い本ではないので、一通り読んでから趣旨規範ハンドブックを勉強すると飲み込みが早いと感じました。また、趣旨規範ハンドブックだけではよくわからないところなどを調べるのに使いました。
   
7 これから受験する人へのアドバイス
  LS入試でも予備試験でも、あるいは全国模試でも、試験1回受験すると非常に力がつきます。試験は楽しいものではありませんが、受けられるものは可能な限り受けるというつもりでいた方が伸びるというのが私の実感です。よく言われることですが、基本書や優秀答案を眺めていても論文が書けるようにはならないので、とにかく書いたり条文を引いたりして、自分の手を動かすことが大切だと思います。
  

今自分にできることを淡々とこなすこと。
これで一発合格できます。


PROFILE
2017年 司法試験合格者 
山内 英一(ヤマウチ エイイチ) さん

1

出身大学・学部 創価大学法学部

2

早稲田大学大学院法務研究科既修コース 2015年入学、2017年卒業

3

司法試験受験歴 1回

4

受講歴

 

2016年 全国公開模試、スタンダード論文答練福田クラス第2クール、選択科目集中答練
 
1 司法試験の受験を決意した経緯

 

 大学1年の時に、刑事弁護に興味を持ち、弁護士になりたいと思ったので勉強を始めました。とはいえ、最初の1年間は参考書を流し読む程度でした。本格的に勉強を始めたのは大学2年のころからです。
   
2 法科大学院受験前の学習状況
   大学1年時に、6科目(憲法・民法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法・会社法)の試験対策本を一通り読みました。当然理解できない部分も多くありましたが、そういった部分は深入りせず、何となく理解できそうな部分を探しながら読みました。
大学2年時から3年終了時までの約2年間は、司法試験過去問集を参考にしながら、旧司法試験の論文を書いていました。1週間に15問程度の答案構成をし、2問はフルサイズ(1問につき答案用紙3枚程度)で書いていました。ロー入試までに、旧司法試験の過去問6科目を約2周しました(答案構成も含みます)。全く書けない問題も当然あります。わからない部分は、適宜基本書や百選等を参照していました。
短答の過去問はほとんど手を付けることができませんでした。もっとも、大学で単位認定がされることから、法学検定を積極的に受験していたので、それに伴い難易度が低めの短答の勉強はしていました。
 
3 法科大学院の受験
   法科大学院の受験まで、旧司法試験の過去問(論文)を解いていました。入試の直前期は、試験対策本に載っている論証を確認していました。結果として、明治大学法科大学院(全額免除)、中央大学法科大学院(全額免除)、早稲田大学法科大学院(半額免除)に合格することができました。
   
4 法科大学院受験後の学習状況
  (1)論文
1年目は、授業についていこうと頑張っているうちに終わってしまいました。そのため、司法試験の過去問(論文)は解いていませんでした。
ロー入試以来、制限時間内に論文を書くということをしていなかったため、定期試験では思うように論文を書けずに焦りました。このような経験から、1週間に1通でもいいので、継続的に論文を書くことをおすすめします。
2年目からは、友人とゼミを組み、過去問を潰し始めました。平成23年~28年までは、時間を計測しながらフルサイズで答案を書きました。平成18年~22年は、答案構成のみ行いました。直近3年分のみ2周しました。
また、本試験の半年前頃から、各科目の演習書を解き始めました。もっとも、時間がないと考えたこともあり、ほとんど頭の中で答案構成をして、解説を読むという方法に止まり、フルサイズで答案を書くことは行いませんでした。
なお、2年間を通じて、各科目の百選は9割程潰しました。基本書も適宜参照しました。
   
  (2)短答
短答については、中間試験に短答式試験が行われることもあり、「パーフェクト」(辰已)を使用して勉強していました。1年目で、選択科目以外の7科目の過去問を1周しました。
また、2年目に入ってからは、「肢別本」(辰已)を使用しました。肢別本は、理由まで答えられたものに◎、理由は不正確だが正解したものに◯、何となく正解したものに△、不正解だったものに×、問題文の読み間違い等のケアレスミスをしたものにCと記入し、2周目以降は×と△を優先的に潰していきました。ですので、何周したかは問題によります。少ないものは1回きり、多いものは5回以上解きました。
   
5 受験対策としてとった辰已講座の利用方法とその効果
  (1)スタンダード論文答練・福田クラス(第2クール)
論文を書く機会を増やすために、自分で過去問を解くのにプラスして、第2クールから受講しました。公法系、民事系、刑事系というように科目ごとにまとまっており、本番と同じようなイメージで答案を書けました。また、添削はもちろんのこと、順位も知ることができるので、モチベーションを高めることができました。初めは点数が低かったのですが、次第に得点感覚を得ることができました。得点感覚とは、問題文を見たときに「このような事実をここで拾って評価すれば高得点がつくだろうな」と思うことができるような感覚です。これにより、初めは40点~50点程度だった得点も、最終的には55~65点程度になっていきました。
復習は、詳細な解説資料が後日配布されるので、それを読むことで足りると思います。そのため、割と長い時間を消費してしまう解説講義を利用することは一度もありませんでした。時間は有限なので、自分に必要なことから優先的にやっていくことをおすすめします。
   
  (2)選択科目集中答練
選択科目の論文を書いた経験がほとんど無く、不安があったので受講しました。講座名の通り、選択科目科目の論文のみを集中的に解くことができます。この講座だけで、経済法で問題となる行為類型は網羅的に学習できるので、経済法の論文に不安がある方にはおすすめです。
   
  (3)全国模試
この模試は、試験直前期である4月に行われるものです。一般的に、模試は自分の弱点を洗い出し、修正する点に大きな意義があると思います。しかし、直前期の模試においてそのような意義を見出すのは、時期的に難しいと思います。むしろ、この模試で良い成績を残し、自信を持って本番につなげていくイメージで利用することをおすすめします。12月や3月に行われる他校の模試と併せて利用すると効果的だと思います。
私は幸いにも4月の辰已の模試で上位1%以上に入ることができたので、自信を持って本番に臨むことができました。自分を落ち着かせ、精神を安定させるための材料として、大きな効果がありました。
   
6 私がやって成功した方法
  (1)論文
学部時代に旧司法試験の過去問を解き続けていたことと、ロー3年時に過去問を一通り解いたことが、かなり有利に働いたと実感しています。論文は、三段論法の“型”をいち早く習得することが重要です。結局は、特別な知識を有している人ではなく、①基本的な知識を習得しており、かつ、②三段論法ができる人が受かります。過去問は、①と②の両方の能力を高めることができるので、必ず解いて下さい。もちろん、他人に見て貰うことが前提です。
また、基本的には百選レベルの知識を有していれば合格できますので、百選を読み込むこともおすすめします。規範部分、あてはめ、結論部分で色を分けてマークしていくと、①の能力を高めながら、②の能力も高めることができます。
また、市販の論証集をベースに、自分なりに補足や修正をメモしたものを用意しておくと、試験の直前期の見直しに有効です。全てをゼロから作るのは時間の無駄だと思うのでおすすめしません。
   
  (2)短答
前述のように、肢別本(辰已)を使用し、理由まで答えられたものに◎、理由は不正確だが正解したものに◯、何となく正解したものに△、不正解だったものに×、問題文の読み間違い等のケアレスミスをしたものにCと記入し、2周目以降は×と△を優先的に潰していきます。得点アップの方法は、過去問を繰り返し解くことに尽きますが、無駄な繰り返しを避けて効率性を高めるためには上記の方法がおすすめです。◎◯△×Cの判定は、自分に厳しく行って下さい。自分に甘く判定すると全く意味がありません。
   
7 私が使用した本
  (1)論文
基本書は他の受験生と同じようなスタンダードなものを使いました。基本書は学部時代に一通り読んで以降(もちろん全てを理解していたわけではありません)、“通読”をすることはありませんでした。わからない論点が出てきた際に参照する程度でした。
演習書は「基礎演習行政法」、「事例で考える会社法」、「刑法事例演習教材」、「事例演習刑事訴訟法」、「論点解析経済法」を使用しました。演習書は、答案を書く時間がなかったので、頭の中や簡単なメモで答案構成をしてから解説を読むという方法で使用していました。憲法、民法、の演習書は時間の関係で使用しませんでした。民事訴訟法は、授業で使用した「ロースクール民事訴訟法」を読みました。経済法は、演習書だけでは不安だったので、「一冊だけで経済法」(辰已)で論述の型と論証を習得しました。
   
  (2)短答
肢別本がメインです。短答が苦手だったため、六法は、「判例六法」を使用していました。
   
8 これから受験する人へのアドバイス
  (1)勉強面
前述した通り、司法試験は、①基本的な知識を習得しており、かつ、②三段論法ができる人が受かる試験だと思います。逆に言えば、そこだけ徹底していれば受かることができる試験です。①の「基本的知識」とは、例えば、民法で考えられる請求を聞かれたときに、債権の発生原因として、契約・不当利得・不法行為・事務管理を思い浮かべて一つ一つの可能性を検討することができること、刑法で言えば、窃盗罪・詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪の違いを整理できていること、等を指します。また、問題を見たときに、百選レベルの著名な判例を想起することができることも基本的知識に含まれるでしょう。そういった「基本」を大切にして下さい。方法としては、過去問と演習書をしっかり解くことをおすすめします。
また、相対評価の試験である以上、他の受験生のほとんどが書ける論点を書けないというのは致命的です。そうならないために、受験生の間でポピュラーな基本書や演習書を使用することも重要です。
   
  (2)精神面
「自分は本当に合格できるのか」と不安になることが何度もあると思います。その気持ちは痛い程わかります。私もそうでした。しかし、大事なのは、そう思った後にどう自分を立て直すかだと思います。不安に支配され、どん底に落ちているだけでは何も始まりませんし、時間と体力の無駄です。
私は、「この状況で不安じゃない人間などいないだろう」と前向きに考えていました。実際そうだと思います。また、不安や困難にぶつかった時こそ、自分に何が足りないのかを冷静に分析し、今自分にできることを淡々とこなすことに注力すべきだと自分に言い聞かせていました。そんなふうに、自分をコントロールしてみて下さい。
また、周りの人がものすごく勉強しているような気がして不安になることもあるかと思います。しかし、あまり勉強時間に囚われすぎるのも気持ち的に良くありません。私自身、学生時代に起業した会社を維持しながら試験勉強をしていたので、10時間以上勉強できた日など数えられる程度しかありません。長期休暇には旅行にも行きましたし、やる気がなく家でゴロゴロしていた日だってありました。それでも、必要量をしっかりとこなせば、合格できます。
思い詰めること無く、支えてくれている人に感謝しながら、そして、できれば今の環境を楽しみながら勉強して頂けたらと思います。繰り返しになりますが、重要なのは「今自分にできることを淡々とこなすこと」です。長文をお読み頂きありがとうございました。皆様の健闘を祈っております。
  

法曹への熱い気持ちと、
司法試験に対して冷めること


PROFILE
2017年 司法試験合格者 
金本 忍(カネモト シノブ) さん

1

出身大学・学部 慶應義塾大学総合政策学部

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法政大学法科大学院既修コース 2011年入学、2014年卒業

3

司法試験受験歴 4回

4

受講歴

 

2017年度 全国公開模試、スタンダード論文答練、スタンダード短答オープン
2016年度 全国公開模試、スタンダード論文答練福田クラス第1第2クール
2015年度 全国公開模試、合格開眼塾
 
1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり

 

 私は鰻屋の息子で、小さい頃から父の背中を見て育ちました。手に職を持って、自分の店を切り盛りする父の姿に憧れ、自分も何か専門的な仕事に就きたいと考えました。そして高校の頃観たアルパチーノ出演の「セントオブウーマン」という映画のラストで、人を弁護するシーンがあり、とても感動しました。そこで言葉を武器にして人を守る弁護士という職業に興味を覚えました。
   
2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習)
   予備校の基本講義を取ったり、法科大学院対策ゼミを受けたり、基本書を読んだりして、どれもが中途半端で勉強の方向性が定まっておらず、法律の理解度はかなり低かったと思います。
   
3 法科大学院入学後の学習状況(法律学習)
   大学院の予習・復習に追われ、思うように受験対策できませんでした。そのため、1回目の試験は短答で落ちるなど惨憺たる結果でした。
   
4 辰已講座の利用方法とその成果
   1回目の結果を受けて、これは法律を一からやり直さざるを得ないなと思い、思い切って辰已専任講師・弁護士である柏谷周希先生の合格開眼塾を取りました。柏谷先生の授業は目から鱗で、何度も聴いているうちに断片化してバラバラだった知識が頭の中で有機的に結び付けられ、体系づけられていくことを体験しました。そして、論文も問題文の読み方から丁寧に教わり、どのような答案を書くと評価を受けるのかが明確に分かり、自信を持って本番に臨めました。ただ本番で論文の民事系の点数が悪く、不合格となりました。
3回目は、辰已専任講師・弁護士である福田俊彦先生のスタンダード論文答練(スタ論)・福田クラスを受講しました。福田先生の授業は徹底してすべらない答案を書くことの大切さを説かれ、司法試験が巷で言われているほど難しい試験ではなく、総論レジュメに書いてあることを守れば合格できると思えるようになりました。ただ、3回目も2000番台前半で落ちました。
3回目に落ちた時はとても落ち込み、あきらめようとも思いましたが、もう一度気持ちを奮い立たせ、スタ論を勉強のペースに置き、毎回答練を受け、自分の足りなかった部分を反省し、ノートを作り続ける日々を送りました。柏谷先生、福田先生から教わった合格の秘訣は絶対間違っていないと信じていたので、あとは本番中どこまで自分の力を引き出せるかを常に考えながら、勉強していました。そして、4回目で合格することができました。
   
5 私がやって成功した方法
  合格するまで4回かかった最大の原因は、司法試験は資格試験であり、点数をいかに効率よく1点でも多くもぎ取った人が勝つというシンプルかつ最も重要な意識が欠けていたことだと思います。3回目に落ちたとき、私はいい意味で司法試験に冷めました。高尚な議論や深く考え込まれた議論で勝負は決するのではなく、もっと基本的な部分で差がついて合否が決まっていることに気付いたからです。
そこで、スタ論が終わって自分の答案が返ってきたら、採点表と見比べて、なぜ自分の答案には点数が入っていないのかその原因を探ることに時間をかけました。自分の書いた答案と採点表は宝の山です。結局、司法試験に合格する人とは、出題者と自分が考えていることの差やギャップが他人よりも少ない人です。
例えば自分では、この論点の原則部分はあまりに基本的で指摘する必要がないだろうと思って書いていないにもかかわらず、採点表にはその原則部分に2点ぐらい点が振ってあるとします。そうすると、書いていない人はその原則部分だけですでに2点損してしまいます。書いている人と書いていない人と法的知識にほとんど差がないのに、書いていないだけで差をつけられるのです。そして原則を書いていない時点で、採点者から基本が分かっていないと判定され、心証を悪くする可能性が高いと考えられます。その結果、前半で採点者にバイアスがかかってしまい、後半に出てくる点数が多く割り振られている当てはめ部分で、たとえ原則を書いている人と同じ内容を書いたとしても、原則を書いてない人の方の点数は思ったより伸びないのです。これが自分では論文ができていると思っていたのに、答案が返ってきたらひどい評価を受けるという事態が生じる最大の原因です。出題者が書いて欲しい部分をすっ飛ばし、論点に飛びつくと評価は決してされません。
自分の書いた論文を見直さず、ただひたすら新しい問題集に手を出しそれで満足してしまう人がいます。たしかに新しい問題を解くことは知的刺激がありますし楽しい作業ではあります。一方、自分の書いた答案を見直し、自分の癖や欠点を発見し、修正をする作業は非常に苦痛です。でも仮に複数回落ちて、どのような勉強をしたらよいか分からないという方は、ぜひ論文を書くことだけでなく、それと同じ時間だけ自分の書けていない部分を発見する作業や、それを忘れないようノートにまとめておく作業をしてみてください。そして、その際には、採点表がある辰已のスタ論はとても役に立ちます。出題者の意図がはっきり可視化され、自分と出題者の思考のギャップを埋め、点取りゲームにどうやって勝てるのかを強く意識できるからです。
もう一つ、百選の使い方について伝えておきたいことがあります。百選は特に憲法、会社法、民訴、刑訴は勉強の道具としてよく使いました。ただ、これも使い方を間違えると明後日の方向に勉強が向かってしまい合格が遠のきます。そもそも条文が社会の秩序を守っているのに、なぜ判例が存在しているのでしょうか?
それは条文が典型的に想定している事態とは異なるケースが起きた場合、どのようにその事案を処理すべきかを示す先人達の智恵が社会にとって必要だからです。条文は一般的抽象的法規範である以上、文言の曖昧さを避けられません。その際に条文の文言を法的に解釈して、事案を解決することが法曹の仕事であり、その解決のため最高裁によって権威付けられた一定の解釈が判例となります。とすると、百選を読み込む際には、まずその事案がどの条文の文言の問題となっているのかを把握し、条文が想定している典型例とどのように事案がずれているのかを理解することが一番重要です。決して、事案を斜め読みし、蛍光ペンで判例の規範部分をマークしても法的思考をしたことにはなりません。事案と条文を必死に見比べながらその争点を理解し、争点を解決するために判例はどのような規範を導いたのかという思考部分が抜け落ちると、勉強の方向性がずれます。
このように法律の勉強の怖いところは、手を抜くべきでない部分で手を抜くと、基本部分がぐらつき、勉強が泥沼化します。判例は条文の効力範囲を広げたり制限したりする力を有します。そのため、事案と条文の齟齬をしっかり捉えないまま、判例規範だけを覚えると、そもそも条文が想定している典型例がよく分からなくなり、本番で混乱する可能性が高くなります。そして本番中に原則論からスタートできず、前述のように評価が下がる原因となります。
このような事態を回避するためには、普段から原則・例外を意識しながらインプットを進めていくことが肝心です。
   
6 私が使用した本
   論文対策として、辰已の趣旨・規範ハンドブックは非常に有益です。これを使っている受験生はかなり多く、この本に載っていることを知らない時点で不利になること、条文や制度の趣旨が書いてあり、基本的知識を総ざらいすることに適しているからです。ただこれも丸覚えするのではなく、なぜある条文の趣旨はこれなのかを考え、論証の流れを見て理解できない部分は書き足すことや補充することで法的思考を鍛えておくことが重要です。
また、辰已のえんしゅう本は旧司の重要問題がセレクトされており、今の論点型の司法試験対策としてお薦めです。えんしゅう本に載っている問題を見て、答案構成をして、参考答案を見て論じ方を学ぶことを何度も繰り返し、基本的論点を発見し論証する能力を養いましょう。
   
7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
  本当に辛い受験生活でした。その間ずっと暗いトンネルを歩いているようで、しかもそのトンネルの先に果たして出口があるのか、自分を信じられなくなるときもありました。その間、ずっと応援してくれた妻や両親にとても辛い思いをさせました。どうか受験生の皆様方には毎日感謝の気持ちを忘れないで勉強して欲しいと思います。あなたが自習室に座り論文や択一の勉強をできるのは、あなたのことを心から愛し信じている誰かの時間の犠牲や金銭のサポートがあるからです。それを思ったら、自習室で長時間談笑している場合ではないはずです。答練をサボっている場合ではないはずです。長いトンネルの中で苦しくても、自分をごまかし腐らせることだけは絶対にしないでください。せっかくなら本気で戦略を練って、当日の戦術を練りに練って本番を迎えてください。皆さまの来年の合格を祈念しております。
 
 
 
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