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平成29年予備試験論文式試験を受験される皆様へ

 

「刑法の一部を改正する法律」について

■公開:2017年06月30日


 平成29年6月23日に「 刑法の一部を改正する法律」が公布され(法律第72号),同年7月13日に施行されます。

 法務省HPによると,この改正は,「近年における性犯罪の実情等に鑑み,事案の実態に即した対処をするため,強姦罪の構成要件及び法定刑を改めて強制性交等罪とするとともに,監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪を新設するなどの処罰規定の整備を行い,あわせて,強姦罪等を親告罪とする規定を削除する必要」からなされたものとなっています。

 本改正法施行直後の7月16 , 17日には予備試験論文式試験 が実施されるため,辰已法律研究所では,法務省司法試験予備試験係に対して電話で問い合わせ(6月27日時点)をしましたので,その結果を皆様にご案内致します(なお,以下の文章は辰已法律研究所の責任においてまとめたもので,文責は全て当研究所にあります。)。

Q:

 

 

 

 

 

 

A:

 

Q:

 

 

 

 

 

A:

「司法試験予備試験の出題に係る法令について(平成22年11月10日司法試験委員会決定)」によると,
「1 司法試験予備試験は,試験時に施行されている法令に基づいて出題する。
 2 例外的に,各科目別の考査委員において,1と異なる取扱いとすることを相当と認めるときは,司法試験委員会に対し,1と異なる取扱いとする旨を速やかに広報するよう求める。」となっているが,今回,2の「広報」はありますか?

ありません。

「平成29年司法試験予備試験用法文登載法令」によると,
「登載法令については,原則として,平成29年4月1日現在において,既に公布され,かつ,司法試験予備試験論文式試験の日以前に施行されることが確定している法令を登載します。」となっており,これに従うと今回の改正法は試験用法文に掲載されないことになるが,その取扱いについて変更はありますか?

ありません。

 法務省の回答に従うと,もし改正法に関わる文言を答案に書かなければならない場合,手元に参照できる新法の条文が無いので受験生としては困ることになります。何らかの対応・措置はとられないのか,を再三確認致しましたが,「出題に関わることなのでお答えできない」として明確な回答を得ることはできませんでした。
 

今年の予備試験論文式試験を受験される方へ
 まず,今回の改正は,論文式試験の正に直前であることから,その対応にあまり神経質になることは必要ないものと思われます。民法債権法分野の大改正のように,成立公布から施行まで十分な周知期間を設けるものについては,ある程度しっかりした準備が期待されますが,本改正のように公布から施行までの期間が短く,しかも試験直前にそのタイミングが来るものについては,しっかりとした準備は期待できないからです。
 加えて,試験用法文に改正法が掲載されていなければ,正確な記述も期待できません。試験用法文ができた後に法律の改正があった場合,過去の旧司法試験時代には追加の法文が配付されたこともあったようです。今回も試験場で法文を手に取り,改正法に関する紙片が追加等されていたら,それに従えばよいでしょう。
 
 なお,今回の法務省回答は6月27日時点のものであり,今後,法務省がどのような対応をとるか,とらないかはわかりません。気になる場合は,法務省HPをチェックしてみてください。
 
 以下には,今年予備論文試験を受験される皆様のために今回の改正内容についての(現時点での)情報をまとめました。ここに書かれていることを一読され,落ち着いて本試験に臨んでいただきたいと存じます。頑張ってください。

 

■ 刑法の一部を改正する法律案(法務省HP)
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00140.html

1 金田法務大臣による趣旨説明(平成29年6月6日衆議院法務委員会)
 「性犯罪は,被害者の心身に多大な苦痛を与え続けるばかりか,その人格や尊厳を著しく侵害する悪質重大な犯罪でありますことから,厳正な対処が求められておりますところ,明治四十年の現行刑法制定以来基本的にその構成要件が維持されてまいりました現行の罰則では,性交と同等の身体的接触を伴う強制わいせつ事案,親権者等による性交等事案などについて,適正な処罰が困難な場合があるとの指摘がなされております。
 また,現行法に対しては,強姦罪の悪質性,重大性に鑑みると,その法定刑の下限が低きに失して国民意識と合致しない,あるいは,性犯罪が親告罪であることにより,かえって被害者に精神的な負担を生じさせていることが少なくないなどのさまざまな御意見が見られるところであります。
 そこで,この法律案は,性犯罪の実情等に鑑み,事案の実態に即した対処をするため,刑法を改正し,所要の法整備を行おうとするものであります。」
(衆議院HP掲載会議録より)
 
2 本改正法案のポイント(「 」内は法務大臣発言。衆議院HP掲載会議録より。)。
① 構成要件の見直し,法定刑引き上げ,罪名変更
 「第一は,現行の強姦罪は,強制わいせつ罪の加重類型と考えられておりますところ,その構成要件を見直し,行為者及び被害者の性別を問わず,暴行または脅迫を用いて肛門性交または口腔性交をする行為等を現行の強姦と同様の重い類型の犯罪として処罰することとした上で,その法定刑の下限を懲役三年から懲役五年に引き上げるとともに,被害者を死傷させた場合の法定刑の下限も懲役五年から懲役六年に引き上げるものであります。また,これにあわせて,強姦罪の罪名を強制性交等罪とするものであります。」
 
② 監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪の新設
 「第二は,監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪の新設であります。すなわち,十八歳未満の者に対し,その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為または性交等をした者に対する罰則を新設することとしております。」
 
③ 強姦罪等の非親告罪化
 「第三は,強姦罪等を親告罪としていた規定を削除して,これらの罪を非親告罪とするものであります。」
 
④ 同一の機会に強盗の罪と強制性交等の罪を犯した場合の処罰
 「第四は,同一の機会に強盗の罪と強制性交等の罪を犯した場合について,現行の強盗強姦罪と同様の法定刑で処罰することとするものであります。」
 
「このほか,所要の規定の整備を行うこととしております。」
 
 
今回の改正の具体的な内容については,上記法務省HP「刑法の一部を改正する法律案」

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00140.html )の中の「刑法の一部を改正する法律案要綱」「刑法の一部を改正する法律案新旧対象条文」等に詳細があります。
 
cf.
■「司法試験予備試験の出題に係る法令について(平成22年11月10日司法試験委員会決定)」

(法務省HP http://www.moj.go.jp/content/000080590.pdf
 
■「平成29年司法試験予備試験用法文登載法令」
(法務省HP http://www.moj.go.jp/content/001222534.pdf

 

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