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平成30年度司法書士試験筆記試験
基準点の発表を受けて

■公開:2018年08月06日
■最終更新:2018年09月27日


   
8月6日、法務省ホームページにおいて、平成30年度司法書士試験筆記試験択一式の基準点等が公表されました。

公表された基準点は次の通りです。
午前の部:満点105点中78点
午後の部択一式:満点105点中72点
午前または午後択一の点数のいずれかが基準点に達しない場合にはそれだけで不合格となります。

基準点以外に公表された資料は次の通りです。
受験者数:14,387名(昨年比93.2%)
本年は、午前の部・午後の部択一式とも、平均点の発表はありませんでした。
※辰已法律研究所の計算によると、午前の部の平均点は57.37点、午後の部択一式の平均点は51.21点でした。

また、択一式の正解も公表されました。本年も複数解や正解なしの問題はありませんでした。

さらに、「平成30年度司法書士試験筆記試験(多肢択一式問題)得点別員数表」も公表されています。

これらについては、法務省ホームページをご覧ください。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00321.html

【資料&分析】

次の表は、今年も含めた過去7年の午前・午後択一式基準点に関する資料です(辰已法律研究所作成)。

択一式基準点に関する資料(過去7年)
 
H24
H25
H26
H27
H28
H29
H30
午前択一 基準点
84点
84点
78点
90点
75点
75点
78点
満点
105点
105点
105点
105点
105点
105点
105点
基準点/満点(%)
80.0%
80.0%
74.3%
85.7%
71.4%
71.4%
74.3%
基準点に達した人数
2,992名
3,077名
2,525名
3,303名
3,114名
3,069名
2,897名
午後択一 基準点
78点
81点
72点
72点
72点
72点
72点
満点
105点
105点
105点
105点
105点
105点
105点
基準点/満点(%)
74.3%
77.1%
68.6%
68.6%
68.6%
68.6%
68.6%
基準点に達した人数
4,101名
3,966名
4,759名
3,339名
3,960名
3,139名
3,461名
  
  平成30年度は、午前の部の基準点が78点(26問)、午後の部択一式の基準点が72点(24問)となりました。これは、午前の部は昨年よりも3点(1問)上がり、午後の部択一式は昨年と同じ基準点という結果です。

  上記のように、午前の部の基準点は78点(26問)で昨年より3点(1問)上がりました。辰已法律研究所が行ったWEB択一再現に基づく科目別平均正答率によると、午前の部において、近年の中で特に目立った数値を示した科目はありません。どの科目も標準的な難易度だったといえます。昨年と比較をすると、憲法の正答率が大きく上がっていますので、それが基準点の3点(1問)上昇につながったとみることができます。出題形式をみても、組合せ問題が32問(昨年30問)、単純正誤問題が3問(昨年4問)、個数問題が0問(昨年1問)、会話形式の問題が2問(昨年2問)ということで、前年度からの大きな変化はみられませんでした。
  一方、午後の部択一式の基準点は72点(24問)、こちらは昨年と同じ基準点でした。WEB択一再現に基づく科目別平均正答率によると、民事訴訟法の正答率が例年よりやや低めでしたが、それ以外の科目の中では、ここ数年の中で特に目立つほど高い数値を示した科目も低い数値を示した科目もありませんでした。出題数の多い科目では、不動産登記法が昨年よりやや易化、商業登記法がやや難化という結果でした。出題形式をみると、組合せ問題が35問(昨年34問)、単純正誤問題が0問(昨年1問)、個数問題が0問(昨年0個)、会話形式の問題が0問(昨年0問)で、午前の部同様、前年度からの大きな変化はみられませんでした。
  午前・午後を通じて前年度からの大きな傾向変化はみられませんでした。難易度も一昨年(平成28年度)から比較的安定しています。昨年も述べましたが、今後の試験対策としては、本年度のような出題レベル・出題形式への対応力を万全とした上で、問題の難化にも備えておくというのが無難な姿勢だといえるでしょう。

  次に、基準点到達人数をみると、午前の部は昨年より172名減りましたが、対受験者でみた基準点到達者の割合としては近年で最高となっています。午後の部択一式は昨年より322名増え、こちらも対受験者でみた基準点到達者の割合としては近年で最高となっています。
  択一式基準点は午前の部・午後の部択一式双方での高得点者の「重なり」の調整結果です(下の表の中でDの数値のみ安定している点に注目)。よって、重要なのは記述式の採点をされたのが何人か、受験者数減に伴ってこの人数に変動があるのかということであり、これについては9月26日の法務省の発表を待って当欄に数値等の追加をいたします(上記「重なり」が判明しない段階での、偏差値等に基づく推測的なコメントは当研究所では差し控えます)。
 
択一式基準点到達人数に関する資料(過去7年)
 
H24
H25
H26
H27
H28
H29
H30
筆記試験受験者数 A
24,048名
22,494名
20,130名
17,920名
16,725名
15,440名
14,387名
択一基準点
到達人数
午前の部 B
2,992名
3,077名
2,525名
3,303名
3,114名
3,069名
2,897名
午後の部
択一式
C
4,101名
3,966名
4,759名
3,339名
3,960名
3,139名
3,461名
午前・
午後択一
とも
D
2,169名
2,177名
2,033名
2,251名
2,280名
2,179名
2,135名
午前・午後ぞれぞれの択一基準点到達者が記述式を採点された割合 午前
到達者
D/B
72.5%
70.8%
80.5%
68.2%
73.2%
71.0%
73.7%
午後択一
到達者
D/C
52.9%
54.9%
42.7%
67.4%
57.6%
69.4%
61.7%
  
  最後に、「平成30年度司法書士試験得点別員数表」をもとに、辰已法律研究所が作成した得点分布グラフを見てみましょう。
  午前の部は、上記のように、昨年より基準点が3点上がりましたが、それに伴い、得点分布の山は昨年と同じ形のまま3点分だけ高得点方面に動いたというイメージです。今年も、全体としては正規分布に近い得点分布となりました。
  午後の部択一式では、低得点域の人数が大きく減り、45点から84点の範囲では人数が増えています。この形は一昨年の午後の部択一式のグラフの形に近く、昨年よりもバランスの良い形のグラフになりました。
  今年は午前の部の基準点が3点(1問)上がりましたが、以上に述べたように、得点分布としては比較的バランスの良い結果だったといえるので、出題者としては来年以降も本年のような結果を目指すものと考えてよいでしょう。この結果からは来年以降の出題傾向に大きな変化が起こるだろうとは考えられません。
  
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